お客さまの元へ訪問してのケアもさせていただくこともあって、対象となる年齢層は10代から80代までと幅広く
高齢の方にも多くご指名いただきますので、必然的にお客さまのお葬式も毎年のようにあるのです。
次の予約までの間に突然亡くなられたことも、今回が初めてではありません。
でも、でも今度ばかりは、ご親族の方への言葉が見つからず、「お力落としなさいませんように」とは言えませんでした。
力落とし…、しますよ…、わたしも。
クライアントが亡くなって今日で二週間です。
癌で死ぬということは…
ホスピス通い、一人のクライアントに誠心誠意向き合った2カ月間でした。
自分の今の気持ちを整理するために記録しておこうと思います。
Eさま享年64歳
初診は、
◆平成18年9月28日
7年前からはじめた本格的な山登り、
そのケアのためにと、ほぼ週一で
マッサージを受けてくださいました。
海外の山にも数回出かけていました。
このときが発端。
◆平成23年9月
胃の痛みが治まらず、山へ行けなくなる。
身体の異変に検査を繰り返すが見つからず。
◆平成24年1月
3ヶ月前(平成23年10月)小腸にガン発覚。ステージ4と診断される。
年末に手術、1ヶ月入院していた。
年明けから抗がん剤治療が始まる。
◆平成25年
新たに卵巣のガン見つかる。
抗がん剤の副作用で手足のシビレ続く。
◆平成26年6月
抗がん剤治療をやめ、食事療法に切り替えたとのこと。
週末の山登りも再開。
◆平成27年9月3日
週2回のマッサージケアを依頼される。
再び転移によって腹膜にガン見つかる。
腹膜播種と呼ばれ、手術できないとのこと。
余命一年の宣告を受ける。
鍼治療、気功との併用。
この月、四国お遍路巡りにでかける。
◆平成27年10月17日
先月に続きお遍路後半へ出かける。
ある日には4時間の輸血。
ラドン温泉療法にも通い出す。
自分で車の運転をする。
みるからに痩せてきた。
◆平成27年11月
下腹、胃の痛みで寝込む日が出てくる。調子のいいときに自宅の身辺整理をしている。
マッサージはしばらく様子を見ることに…
◆平成28年1月6日
ホスピス病棟へ入院
◆平成28年3月
名古屋セミナーに帰路中にご本人から電話あり。
喋れなくなったので変わりにしてくれたとのこと。
ホスピスへ緩和ケアにきてほしいと依頼うける。
点滴での薬が合わず。
言葉が出なくなり、歩けなくなる。
四肢の関節がカンガルーのように曲がったまま固まっていた。
依頼内容は
・背部を中心にマッサージ
・歩けるようにしてほしい
・喋れるようにしてほしい
◆平成28年4月第1週目
空いてる時間に
・アロママッサージ
・呼吸練習
・歩行訓練
開始。
週3、4回/ 60分 or 90分
食事は点滴のみ
プリンだけ少し食べられる
薬が抜けてきたのか、腕の関節がゆるんできた
週末咳が止まらず、胸を痛がる。
◆平成28年4月第3週目
日曜に肺炎にかかる。
安静が必要、熱もあり
歩行訓練なし。マッサージのみ、
◆平成28年4月第4週目
一週間で肺炎治まる。
ホスピスへ来てからは痛みはないのだそう。
手足の力がついてきた。
寝返りが自力でできる。
トイレへ行くために骨盤底筋トレーニング
感覚が戻り、おしっこが出せたことかなり喜ぶ。
「ホスピス記録更新しちゃうね〜」
「ありがたいねえ〜」
「ムフフ〜」口ぐせ、ニコニコしている。
とても前向き。
がんばらず、今の状態で長くいられればいいねと言う。
マカロンがたべたいとのこと
英語を習いたいというので
スピードラーニングのCDを持ってきてあげる
◆平成28年5月第1週目
急に痩せたと感じる
足の浮腫みがとれる
睡眠薬をやめたので
ちょっと時差ぼけ的な感覚だそう。
滑舌がよくなり色々お話してくれる。
字の練習、お友達に手紙を書く。
◆平成28年5月第2週目
歩行器ではなく、手をつないで歩行訓練。
トイレも自分で行く。
「最初から抗がん剤治療をしなければよかった」
と話してくださる。
バラの花をはじめ、毎回のように
病棟の花をお土産に持出せてくれるので
全てドライフラワーにする。
◆平成28年5月第3週目
足の浮腫み再び
黄疸でている
かなり痩せた(悪液質というそう)
ご家族のお話では5月29日土曜日
言葉少なく
お腹に力が入らなくなってきたそう。
(お隣さん逝ったか)
◆平成28年5月23日月曜日 60分
調子良さげだが
もう痩せるところがないくらい痩せた。
姿勢を変えるだけで腹水が漏れるよう。
血が混じって出ている。
(本人は血の出どころをわかっていない)
◆平成28年5月24日火曜日 60分
目力がなくなる。
歩けるが、寝返りに補助を求める。
右に坐骨神経痛あり
◆平成28年5月26日木曜日 90分
一週間ぶりの90分ケア
60分はもの足りないとのこと
骨盤周りくっきり、筋肉ない。
◆平成28年5月27日 金曜日 60分
ウォーキング中のお喋りが呼吸辛さあり
しかし言葉よく出る。
結局、この日が最後のケアになった。
土日と大阪でのセミナー参加のため
病棟には行けず。
この間の急変。
平成28年5月30日 午前3時頃息が止まる。
いつものウォーキングコースを半分でやめる
5月30日日曜日
午後になってモルヒネを打つ
夜10時頃、家族を呼ぶように言われ娘さん到着
翌2時頃、息子さん到着
3人に見守られながら静かに息をひきとる。
…………
6月6日月曜日
ご自宅へ挨拶に行きました。
ご主人とワンコちゃんが迎えてくれて
少しゆっくりとお話をしてきました。
逝ってしまった寂しさに浸っている暇はないようです。
病室の片付けをしていると
ご主人、娘さん、息子さん、と三人への手紙があったそう。
日付は5月21日付け。
そして、手紙とは別に
最後の一週間は日記もつけていて
便せんに綴ったものを私にも見せてくださいました。
「5月23日月曜日、今日は調子がいいので…」
ご主人、二人のお子さん、三人のお孫さんへ
あの日本当に気分がよかったんですね。
感謝の気持ちがたくさん綴られていました。
そして、「調子がいいので今月はまだまだ大丈夫!」
と書かれていたのですが…。
苦しい表情を見せずに逝きました。
ベッドにちょこんと座り、
「しばらくこのままでいるわ。また月曜日ね」
最後まで私には笑顔でした。
「私の姿をしっかり見ておいてね」
この2ヶ月間の経験は全て
私の宝物になりました。
クライアントさま、ご家族さま
本当にありがとうございました。
人が生きるとは…
ガンで死ぬとは…
を教えてくれた人
ご冥福をお祈りいたします。
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